無料プレスリリース配信なら、プレスリリースゼロ・最短5分のスピード配信

量子力学計算により医薬品の受容体サブタイプ選択性の予測・再現に成功

分子機能研究所のプレスリリース2017年 02月 16日

分子機能研究所(Institute of Molecular Function;埼玉県三郷市)の辻一徳(ツジ モトノリ)代表らが医薬品の標的タンパク質分子に対する結合親和性を量子力学計算を用いて予測することに成功し、その成果が2017年2月5日、FEBS Open Bio誌からオンライン出版された。本研究は画期的医薬品の開発を促進する次世代の創薬基盤技術に結び付く成果として注目される。

【背景】
医薬品の標的となるタンパク質(標的タンパク質)の受容体には一般にサブタイプと呼ばれる亜型が存在する。通常、サブタイプは細胞、器官、組織や臓器によって分布が異なっており、その細胞や組織に固有の生命活動に関わっている。サブタイプ選択性を欠く医薬品は全身の細胞や組織に同等に効果を示すため、副作用の原因の一つとなっている。
現在、医薬品はタンパク質の立体構造に基づいて設計(構造ベース創薬と呼ばれる)されており、サブタイプ選択性は医薬品が作用するサブタイプ間のポケットの特徴(形状や物理化学的性質)に依存していると考えられている。そのため、サブタイプ別にポケットの特徴がわかれば、有効な医薬品が設計できると考えられている。この考えに基づいて、医薬品とタンパク質をコンピューター上でドッキングさせるドッキングスタディーやインシリコスクリーニングと呼ばれる方法が最先端の手法として用いられている。これら既存の手法では標的タンパク質のポケット周辺の構造さえわかれば、全体の構造がわかっていなくても医薬品の設計が可能と考えており、計算資源の問題もあり、ポケット周辺の構造情報だけでドッキングを実施している。

【成果】
今回の研究では、複数の核内受容体と既知医薬品を対象とした全系量子力学計算を実施することで、医薬品の効果が受容体の全体構造に依存していることを明らかにした。その結果、サブタイプ間でポケット周辺の構造に区別がない場合でも、サブタイプ間への選択性あるいは結合親和性の強弱の判別ができることを示した。
医薬品の標的となるタンパク質は、通常、単独では存在しておらず、細胞内の場所や発現時期に応じて別の生体分子と結びついており、こうした別の生体分子からの影響によっても医薬品の効果(結合親和性の強弱)が変ってくることを分子シミュレーションで初めて実証したことになる。すなわち、構造ベース創薬に全系量子力学計算を適用することで、既存のドッキング手法では難しかったサブタイプ選択的あるいは組織選択的医薬品の予測や探索が可能になることを初めて示した。

【今後の期待】
今回の研究成果は、サブタイプ選択的医薬品や細胞あるいは組織選択的医薬品を開発するための次世代の創薬基盤技術のための新たな手法として期待される。

【成果の応用】
辻代表は上記研究を遂行するために、独自に製品化した創薬支援システム「Homology Modeling Professional for HyperChem」および「Docking Study with HyerChem」を2005年に国内外に先駆けて発表し、学術界や産業界に貢献している。「Docking Study with HyerChem」は世界で唯一、生体高分子システム全系をあらわに取り扱う非グリッドアルゴリズムを採用しているドッキングおよびインシリコスクリーニングシステムであり、また、「Homology Modeling Professional for HyperChem」には全系量子力学計算のための全自動インターフェイスが搭載されており、これらのシステムが今回の研究成果に大きく貢献した。

【本件に関するお問い合わせ】
分子機能研究所(Institute of Molecular Function)
〒341-0037
埼玉県三郷市高州2-105-14
TEL:048-956-6985 FAX:048-956-6985
E-Mail:support@molfunction.com

【関連リンク】
分子機能研究所:
http://www.molfunction.com/jp/
http://www.molfunction.com/tsuji_jp/

WILEY:
http://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1002/2211-5463.12188/full

ジャンル
調査・研究結果
業界
素材・化学・エネルギー・運輸
掲載日
2017年 02月 16日
タグ

月別掲載数